SHUTLで開催中の新工芸舎の展示会へ行ってきました【3Dプリンター】
皆さんは3Dプリンターをご存知でしょうか。普通のプリンターは紙などの平面にインクを吐出して文字や図面を印刷するものですが、3Dプリンターは材料を積み重ねて立体物を成形することができます。
昨年にゼネコンの大林組が建築基準法に基づく国土交通大臣の認定を取得した建屋を3Dプリンターで建設したこともあり、建築業界でも話題になってきているので、言葉は聞いたことがあるよという方も多いかもしれません。
いくつかの造形方式がありますが、家庭用で一般的なのはPLA(ポリ乳酸)などの樹脂を200℃近くの熱で溶解させ、1mm以下の細いノズルから溶解した樹脂を吐出して積層させる熱溶解積層方式です。
こんな感じで1層ずつ積層していきます。以前は水平出しが難しかったり、ノズルが詰まってしまったりと、印刷前の機器のセッティングが難しかったようですが、最近の機種ではオートで設定してくれるので誰でも簡単に使用できます。
新工芸舎さんは京都を拠点に活動している3Dプリンターを使ったものづくり集団で、前からインスタやXで気になっていたのですが、今回東京のギャラリーで展示会を行うということで早速お邪魔してきました。
場所は銀座のSHULT。6月28日から7月14日までの期間で開催中です。SHULTは昨年の10月にオープンしたアートギャラリー・イベントスペースで、黒川紀章の中銀カプセルタワービルの解体時のユニットが2基移設されていて、なんとユニットの内部も鑑賞空間になっています。
展示空間に収まるユニット。1つのユニットの室内は約10㎡だそうですが、外からみると思ったより大きく感じました。
3Dプリンターの基礎原理は1980年に日本人の手によって発明されたそうで、ユニットの一つは「1985年、中銀カプセルタワーをセカンドハウスとして持つ某メーカー本社勤めのデザイナーAという存在を仮定し、あり得たかもしれない作り手の部屋を再現」した空間になっていました。照明も壁面アートも、机のトレーも全て3Dプリンターで作られていて、3点ユニットの浴室も含めた約10㎡の小さな床面積の中に、架空のデザイナーの熱量がぎっしりと詰まっていました。
発想力があれば、小さなPCと3Dプリンターがあれば何でも作れてしまうのがすごいところです。
もう1つのカプセルのユニットは内装が全て撤去されたスケルトンの状態で、ユニットの内部構造がわかるようになっていました。内部は照明が落とされ、新作のライトが展示されていました。
一時販売を停止しているようですが、新工芸舎さんのオンラインショップでは色とりどりの様々な商品が販売されているのでぜひ見てみてください。展示会では新作だけではなくオンラインショップに掲載されている商品も販売されていました。
少し前に3Dプリンターを購入した私はというと、無くしてしまった会社の印鑑のキャップを作る程度の簡単な造形しか出来ないのですが、絵を描くセンスも立体をモデリングするセンスがなくても、CADが出来れば誰でも自宅で造形物が作り出せることにちょっと未来を感じています。
by hachiga