大谷幸夫の設計した京都国際会館を見学してきました
先日の休みを利用して京都にある京都国際会館を見学してきました。京都国際会館は催事が行われる国際会議場ですが、ときどきOpen Dayが開催されていて、その日には1階の一部と庭園が無料開放されているので誰でも見学することが出来ます。
目次
国際会議場とは
国際会議場はその名の通り、主に国際的な会議の会場として使われる大型施設です。数千人を収容できる大型ホール、展示場、宴会場や宿泊施設からなり、会議だけでなく式典やコンサートなどにも使用されます。国内外の様々な人が訪れる建築であることや、必然的に大規模建築物になることから、国際会議場は地方都市の中のランドマークになることが多くあります。例えば建築として有名なものとしては、丹下健三の設計した広島国際会議場や安藤忠雄の設計した長良川国際会議場、ステップガーデンが話題になったアクロス福岡 国際会議場などがあります。
大谷幸夫の設計した京都国際会館と宝ヶ池
京都国際会館の歴史については国立京都国際会館半世紀の歩みにとても詳しく紹介されているので割愛しますが、国が主催した公開コンペによって1963年に大谷幸夫の案が195点の応募の中から選ばれ、1966年に竣工しました。大谷幸夫は丹下健三の下で広島平和記念公園や旧東京都庁舎などの設計を担当した巨匠建築家です。
江戸時代に灌漑用のため池として作られた宝ヶ池に隣接した敷地で、南には宝ヶ池、東には比叡山という自然豊かな環境の中にあります。
宝ヶ池周辺はきれいな公園として整備されていて、公園から池越しに京都国際会館を眺めることが出来ます。
公園は1週1500mのランニングコースにもなっていて、この日も何人もランナーを見かけました。野鳥などの生物が多く生息しているそうで、ランニングコースに設置されていた案内板も宝ヶ池の生態系を紹介するかわいいデザインでした。(他にもタマムシやオシドリのイラストが書かれた案内板がありました。)
京都市の紅葉は見頃は終わっていましたが、宝が池公園の落ち葉がきれいでした。
京都国際会館のOpen Day
京都国際会館は普段は一般の人は入館することが出来ませんが、ときどき開催されているOpen Dayでは1階のメインラウンジや庭園を見学でき、建物内にあるThe GrillというレストランやNIWA caféというカフェを利用することも出来ます。また、京都国際会館が自主企画でイベントを行っており、それに参加することでも入館が出来ます。例えば5月には建築と、ヨガと、リトリートという企画が行われていました。
Open Dayと同日には、事前の予約が必要ですが「特別見学会」が開催されていて追加で会場やホールも見学が出来ます。(今回は予約をしてなかったので1階のメインラウンジと庭園を中心に見学してきました。)
こちらが入口。威厳あるたたずまいです。
建築についてはICC Kyotoアートツアーで詳しく説明されています。写真に撮ると斜めの壁とV字型の構造体、水平に走る梁が交差してかっこいいです。ざらざらしたコンクリートの仕上げは職人が現場で手作業ではつったものだそうです。
黄緑色の絨毯と剣持勇の六角椅子の赤色と紫色。モダニズム建築特有の鮮やかな色使いです。六角椅子は自由に配置を変えられるようになっていて、横にも円形にも並べられる秀逸なデザインです。絨毯はところどころ壁まで緩やかに立ち上がっていて、コンクリートの柱や壁とは形状的にも素材的にも異なり、有機的な印象を加えていました。
階段横の不思議な仕上げ。
ラウンジ内にあるNIWA café。カフェの椅子も剣持勇のデザインです。京都の前田珈琲のコーヒーや軽食、パンケーキが楽しめます。私はカレーとコーヒーをいただきました。
日本庭園に出ると建物の全貌を眺めることが出来ます。
庭園は素晴らしく、会議の合間の散策や最大2000名までのガーデンパーティーにも対応しているそうです。海外の来賓がこの庭園を訪れたらきっと感激するはず。
京都国際会館の背後にそびえる(おそらく)比叡山。紅葉だけでなく、新緑の季節にももう一度訪れてみたいです。
会議に参加するという手もある
京都国際会館を見学する最終手段としては、要人になって会議自体に呼ばれるという手もあります。京都国際会館で開催された1992年の第8回ワシントン条約締約国会議や、1997年の地球温暖化防止京都会議(京都議定書採択)に参加できるような人物になる。…というのは冗談で、その他にも学会など大小さまざまな会議で使用されていますので、仕事で行ったことあるよという方も多いかもしれません。